走行距離1000kmでメンテナンス
マビックホイールキシリウムのフリーボディをメンテナンスします。
実に簡単に作業は行えるので、走行距離1000kmごとと言わずに気になればいつでもしたいもの。
レースの度にメンテをする猛者もいるそうです。
注油する前と注油・メンテナンス完了後のフリーホイールの音を動画で撮ってみました。
メンテスタンド上ではあまり変わらないですが、実際に走ると音が聞こえないくらいに小さくなります。
注油完了後。
このメンテナンスは本来「グリスアップ」と書きたいところなんですが、マビックの場合はグリスではなく純正品の「フリーボディオイル」を注入してメンテナンスをします。
2,000円ほどで市販されています。
ミネラルオイルだそうで、これを使わないで通常のフリーボディグリスを使用したりするとラチェットの部分が破損したり防塵性が損なわれたりするとか。
車輪の取り外し
最初の工程。
車体から後輪を取り外します。
チェーンがフレームに当たって傷がついたりしないように、長めのSカンなどでフレームのトップチューブからチェーンを吊り上げるといいでしょう。
スプロケットを取り外し
ロックリング回し工具とスプロケット外し工具をからめつけます。
赤い柄の工具がロックリング回し、外側がスプロケット外しです。
スプロケット外しは写真のように、レバーがフリーの上に来るように取り付けると操作がしやすくなります。
ロックリング回しを左に回してロックリングを緩めます。
この時にフリーが左に回ろうとするのをスプロケット外しで抑えつける。
レバーに付いている短いチェーンで力を加え、長いチェーンで回転を抑えます。
スプロケットが無事に取り外せました。
ボディはかなり汚れています。
フリーと反対側の軸受けを手で引っ張って外します。
簡単に外れますよ。嵌めているだけ。
そこに10mmの六角レンチを差し込みます。
反対側(フリー側)には5mmの六角レンチを。
片手で10mmを固定して、片手で5mmをくりくり回します。
玉押しが出てきました。これも正ネジです。
取り外します。
本体を抜き取り
いよいよボディ本体を抜き取ります!(コグとも言います)
本体を持ってそのままそ〜っと引っ張ると簡単に抜けてきます。
ラッチェットの「爪」が飛び出すことがあるので、どこかに飛んで行って行方不明にならないように予め辺りを整理しておきましょう。
反対側にある玉押しも引っ張って抜きます。
フリーボディの部品一式。簡単に分解できて整備性がとてもよくなっています。
キレイに拭きあげました。
フリーボディの内側
ここのギザギザに爪(ラチェット)が当たって推進力とあのチーッという音が発生します。
メンテナンスが行き届いているとラチェット音が聞こえなくなります。
・街で前を走るロードに追いついた時に、彼のマビックホイールからこのラチェット音が聞こえない場合は、整備も抜かりのない中々のやり手と思っていいでしょう。
但し、カンパホイールはグリスアップをしても音は小さくなりますが、消えることはありません。
カンパの場合はフリーが唸って「ナンボ!」
この位置と正反対側に計2個のラチェットがはまります。
本体の外側もきれ〜に!
ミネラルオイルを注油
注油は数滴でいいそうですが、まあ溢れたら拭き取ったらええか!
とたっぷりたらしました。
ラチェットの爪にはごく小さなバネが付いているので、くれぐれも無くさないようにご注意。
オイルの粘性を利用してラチェットのT型の部分を本体に引っ掛けるように取り付けます。バネが収まる小さな穴もあるので注意してはめ込んでください。
本体のシール部分にオイルを垂らします。
内部にも十分に。
ハブの本体には一番外側に1枚のワッシャであるスペーサーがあります。
取り付けを忘れずに。
(実は忘れてしまって、再度バラしてつけました)
これもオイルの粘性でハブ本体に貼り付けることができます。
ハブ本体にフリーボディを取り付け
ラチェットが広がらないように指で抑えて本体を少し被せ、ボディを左に回しながら奥までねじ込むように取り付けます。
この時にはすでにラチェット音は消えている!
反対側の玉押し部分にも注油して。
バラした順に取り付けていきます。
この玉押しは締め付けトルクにより、回転の具合が変わるといったことはないので、緩まない程度に締めておきます。
スプロケットも磨き上げ
ついでにスプロケットも掃除した方がいいでしょう。
すっかり汚れきってしまって「スプロケットは本来黒色である!」と思い込んでいる方はいませんか?
実は銀色なんですよ〜。
磨き上げると実に美しい! その造形美に惚れ惚れします。
綺麗になりました。
やはり分解しないことにはここまで綺麗にすることは不可能ですね。
スプロケットをコグの溝に合わせてローギアから順番にはめていきます。
この溝は違うところにははまらない、実によくできたもの。
裏表があります。ギア歯数の刻印がある方が表面。
間違って裏向けで取り付けようにも、裏向けでは嵌らない!
最適の位置でチェーンが移動できるように、計算され尽くしたギアの形状と位置関係になっています。
もしも所定の位置からズレてしまうと変速のタイミングはかなり悪くなるでしょうね。
全部はめ終わるとロックリング回しでロックリングを締込みます。
締め付けトルクは40N-m。トルクレンチが欲しい!
外した時の締め付けトルクを覚えておきましょう。
この時は回転する方向に締め付けるので、スプロケット外しは不要です。
取り付け完了!
実にキレイになっています。 これぞローディの鑑!
早速乗ってみると。ラチェットの音が見事に消えました。
スプロケットを解体して注油するだけなら10分もかからないので、またラチェット音が鳴り出した時点で注油しようと考えています。
こうやって整備することによりギアの磨耗が見つかったり、タイヤの傷がわかったりディレーラーの取り付け緩みを発見したり。
マメに整備はしたいものです。
次回はカンパニョーロ「BOLA ONE」のグリスアップを行います!